病弱な妹に全てを搾取されてきた令嬢はもう何も奪わせない
もしかしたら何を今更、と思われているのかもしれないとコレットは恥ずかしさから顔を伏せた。

(どうしてもっと早く気づかなかったのかしら。わたくしはヴァンの優しさに甘えて厚かましいわ)

ヴァンのそばが心地いい。
こんな図々しい女を屋敷の皆も嫌がるだろう、訂正しようと思った時だった。


「まさかここまでわかっていらっしゃらないとは……」

「ごめんなさい。やっぱり今言ったことは忘れて。このまま出ていくわ」

「お待ちください、コレット様……!」


コレットは申し訳なくなり、出て行こうとするがメイメイにすぐに引き止められてしまう。


「メイメイの言いたいことはわかっているの。ヴァンにもお礼できないなんて失礼よね」

「このままでは埒が明かないので、この件はフアンタァィ……ヴァン様に報告させていただきます」

「えぇ……わかったわ」

「少々、お待ちくださいませ」


メイメイは深々と腰を折り、足早に部屋から出ていく。
コレットはメイメイが淹れてくれた紅茶を見つめていた。

屋敷の中ではコレットがヴァンと呼んでいたが、皆はコレットには聞き取れない言葉でヴァンのことを呼んでいた。
気になったコレットが「その言葉って、ヴァンのことかしら」メイメイに問いかけたことがあった。
教わろうとしたが、何故かその場にいたヴァンに止められてしまう。
『コレットは以前のように〝ヴァン〟と呼んでください』
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