かつて女の子だった人たちへ
「でもね。それはいい思い出もあるんだぁ。あの時、令美はお弁当を分けてくれたじゃない。私、すごく嬉しかったんだよ」
それはあんまり弓が泣くから仕方なくだ。母親の作った綺麗な弁当を土まみれにした弓は、面白くていい気味だった。みじめな幼馴染を見ていたら、施しをあげてもいいかなと思っただけだ。
「令美がくれたミートボールもシュウマイも玉子焼きも、まだ覚えてるもん。令美のお母さんの玉子焼きはお醤油が入ってて、令美が美味しいでしょって私の顔を覗き込んで」
「よく覚えてるのね」
「すごく嬉しかったんだもん」
ミートボールもシュウマイもチルド品だ。弓の母親のように、一から十まで手作りするような家ではなかった。
でも、玉子焼きを食べて、弓が不細工な泣き顔をやめて笑ったのだけは覚えている。
「久原さん、優しい子だったんだなぁ」
敬士が感嘆の息をついて、令美を見つめる。その目には先ほどよりもっと熱が込められているように感じる。
令美はほくそ笑んだ。弓はやっぱり馬鹿だ。無邪気に令美の好感度ばかりをあげるのだから。
「弓に泣いてほしくなかっただけなの」
令美は困ったような照れたような顔を作った。その表情を敬士がじいっと見つめてくるのを感じながら。
その後敬士がトイレに立った際に、令美はすかさず身を乗り出し、弓に言った。
「松田くん、すごく格好いい人だね。誠実そうだし、仕事もできるなんて、ポイント高いじゃない」
アルコールと照れで赤い弓が、嬉しそうに笑う。
「令美にそう言ってもらえると、すごく安心する。私なんかじゃ、彼とは不釣り合いだから、隣に並ぶのもおこがましいんだけど」
「何言ってるの、すごくお似合いだよ。応援するから!」
それはあんまり弓が泣くから仕方なくだ。母親の作った綺麗な弁当を土まみれにした弓は、面白くていい気味だった。みじめな幼馴染を見ていたら、施しをあげてもいいかなと思っただけだ。
「令美がくれたミートボールもシュウマイも玉子焼きも、まだ覚えてるもん。令美のお母さんの玉子焼きはお醤油が入ってて、令美が美味しいでしょって私の顔を覗き込んで」
「よく覚えてるのね」
「すごく嬉しかったんだもん」
ミートボールもシュウマイもチルド品だ。弓の母親のように、一から十まで手作りするような家ではなかった。
でも、玉子焼きを食べて、弓が不細工な泣き顔をやめて笑ったのだけは覚えている。
「久原さん、優しい子だったんだなぁ」
敬士が感嘆の息をついて、令美を見つめる。その目には先ほどよりもっと熱が込められているように感じる。
令美はほくそ笑んだ。弓はやっぱり馬鹿だ。無邪気に令美の好感度ばかりをあげるのだから。
「弓に泣いてほしくなかっただけなの」
令美は困ったような照れたような顔を作った。その表情を敬士がじいっと見つめてくるのを感じながら。
その後敬士がトイレに立った際に、令美はすかさず身を乗り出し、弓に言った。
「松田くん、すごく格好いい人だね。誠実そうだし、仕事もできるなんて、ポイント高いじゃない」
アルコールと照れで赤い弓が、嬉しそうに笑う。
「令美にそう言ってもらえると、すごく安心する。私なんかじゃ、彼とは不釣り合いだから、隣に並ぶのもおこがましいんだけど」
「何言ってるの、すごくお似合いだよ。応援するから!」