かつて女の子だった人たちへ
駅までは徒歩十分ほど。もっと都心の住まいが理想だが、ひとり暮らしの家賃の負担は大きい。自身への投資を優先すると、住まいは家賃の安い隣県を選ばざるを得なかった。
電車で一時間半かけて、汐留のオフィスに到着した。
代永寺商事株式会社は総合商社だ。人材派遣のネットワーキングサービスを扱っている。令美はソーシャルビジネスグループにいるが、いわゆる営業部である。
「レミちゃんおはよ」
男性社員が声をかけてくる。
「おはようございます。佐藤さん、そのスーツ見たことなーい」
「よく見てるね。新しいヤツ」
「レミちゃん、今日の打ち合わせよろしくね」
「はーい、北村さん。十一時でしたよねぇ。資料できてまーす」
令美は笑顔で応対しながら、自身のデスクのPCで出勤を記録する。すると、部長の小玉が近づいてきた。
「久原くん、急なんだけど今日の午後の外出、同行してくれないか? 先方の要望で、女性目線のアイディアがほしくてね」
午後の部長の外出は客先挨拶だけのはず。令美が同行する理由はない。
しかし、令美はにっこりと微笑んだ。
「はい。承知しました。私でお役に立てるかなぁ」
「久原くんのような女性的な人に来てもらいたいんだよ」
「あ、小玉部長~、今はその言い方もセクハラになっちゃうんですよ~。私はいいですけど、他の女性には気を付けてくださいね~」
悪戯っぽく注意すると、親しいやりとりが嬉しいのか小玉の顔はにやけている。
「じゃあ、ランチミーティングもかねて、昼から一緒に出ようね」
「はい!」
電車で一時間半かけて、汐留のオフィスに到着した。
代永寺商事株式会社は総合商社だ。人材派遣のネットワーキングサービスを扱っている。令美はソーシャルビジネスグループにいるが、いわゆる営業部である。
「レミちゃんおはよ」
男性社員が声をかけてくる。
「おはようございます。佐藤さん、そのスーツ見たことなーい」
「よく見てるね。新しいヤツ」
「レミちゃん、今日の打ち合わせよろしくね」
「はーい、北村さん。十一時でしたよねぇ。資料できてまーす」
令美は笑顔で応対しながら、自身のデスクのPCで出勤を記録する。すると、部長の小玉が近づいてきた。
「久原くん、急なんだけど今日の午後の外出、同行してくれないか? 先方の要望で、女性目線のアイディアがほしくてね」
午後の部長の外出は客先挨拶だけのはず。令美が同行する理由はない。
しかし、令美はにっこりと微笑んだ。
「はい。承知しました。私でお役に立てるかなぁ」
「久原くんのような女性的な人に来てもらいたいんだよ」
「あ、小玉部長~、今はその言い方もセクハラになっちゃうんですよ~。私はいいですけど、他の女性には気を付けてくださいね~」
悪戯っぽく注意すると、親しいやりとりが嬉しいのか小玉の顔はにやけている。
「じゃあ、ランチミーティングもかねて、昼から一緒に出ようね」
「はい!」