かつて女の子だった人たちへ
(結婚してからの浮気なら慰謝料でもなんでもとれるけど、結婚前は困る。相手との間に先に子どもができたら、捨てられるのはこっちだし)

敬士は日ごろからしょっちゅうスマホを見ている。それが例のFXのチャートなのか、誰かと連絡を取り合っているのかは令美にはわからない。スマホのパスコードは知っているが、敬士が常にスマホを手放さないので確認はできていない。いよいよの時は、敬士が眠っている隙に盗み見るしかないだろうが、行動を監視しておけば言い合いになったときの証拠にもなる。

「レミちゃん、お昼いこーよー」

男性社員が声をかけてきたが、レミは曖昧に微笑み返した。

「なんか調子悪くて、外のごはんは食べきれないかも~。今日はオフィスにいます」
「そうなの? 大丈夫? 風邪薬とか買ってこようか?」
「大丈夫~。ゆうべ食べすぎちゃったかなあ」

元から彼らは恋愛対象外だ。妻子持ちの愛人になる気もないし、独身だって同じ会社の男なんてたかが知れている。最低限のお愛想以外を見せるつもりはない。
今、令美には理想の男がいるのだ。結婚を前提に同棲しているのだ。

(彼氏できたとか、言わないけどね。使えるコマはあった方がいい)

オフィスのデスクで、サプリと栄養補助食品で昼食にしながら、スマホを確認する。敬士の居場所は日東エナジーのオフィス位置で固定されていた。

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