かつて女の子だった人たちへ
2.5次元舞台でもミュージカル風のものはあり、芽里はそういった舞台をいくつも見ている。それに、唯に付き合って国民的グループ『タイダル』のライブ映像もたくさん見ている。
事前に動画サイトで見た他所のメン地下グループは、もう少し歌もダンスも洗練されていたはずだ。

(ううん、今日デビューなんだからこんなものだよね)

芽里は心の中でつぶやく。

(何よりレイキが格好よかったぁ)

レイキはものすごく頑張っていた。あまり器用なタイプじゃないのは知っていたけれど、ダンスは精一杯だったし、自分が歌うパートは必死過ぎて出だしの音がずれていた。

(一生懸命なレイキ、めちゃくちゃ推せる)

母性本能をくすぐるといえばいいのだろうか。私が推さなきゃと思わせる魅力がレイキにはある。そのレイキの魅力に多くの人が気づいてくれればいいのに。

「芽里、次ってチェキ撮るやつ?」
「うん。これから案内があると思う。チェキ券を買うんだ」
「私は見てるから、ゆっくりね」

唯にはあまり刺さらなかったようだ。仕方ない。『タイダル』のようなプロのアイドルと比べたら、デビューしたてのメン地下アイドルには魅力を感じられなかったのだろう。今日付き合ってくれただけでもありがたいと思うべきだ。

「レイキ……1枚お願いします」

チェキ券はコンカフェでもいつも1枚と決めていた。ドリンクとセットの1枚のみ。
このライブでもチェキは1枚1000円する。
整理券番号順にチェキ券を購入できたため、芽里は一番のりでレイキの元へ行けた。

「レイキ!」
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