悪魔のみだらな寵愛

白馬(?)の王子様

 思い出す。

『生君!』

『なあに? ひーちゃん』

『私たち、大きくなったら結婚しようね!』

『うん!』

 幼なじみと――生君と結婚の約束を交わしたことを。

 生君こと鳴宮(なるみや)生悟(せいご)。彼は私の幼なじみで理想の相手だ。

 生君を一言で例えると、白馬の王子様。

 ところで、現在、私たちは疎遠になってしまった。

 両親の話によると、生君は、名門として名高い寶華(ほうげ)大学の文学部第一哲学科に在籍しており、現在は大学3年生。また、そこに通いつつ、大学近辺のアパートで1人暮らしをしているそうだ。

『生悟君ってば、女性に全く興味がないのね~。高校時代、同級生からの告白を全て断ったそうよ~』

 ママから聞かされた生君の高校時代のエピソード。

 生君は眉目秀麗で文武両道に秀でている。それだけに、生君を狙う女性が後を絶たないのだろう。

 絵に描いたような幼なじみ、それが生君だ。

 生君と私は疎遠になってしまった――だけれども、ひょんなことから彼と再会することになるなんて当時の私は夢にも思わなかった。
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