利害一致のお飾り婚だったので初夜をすっぽかしたら大変なことになった
「ひゃぁ!?」

 突然後ろから声をかけられ、ビクッとした私が慌てて振り向くと、私の姿を見てぽかんとしているロベルトがそこにいた。


「ろ、ロベルト」

“よかった、ロベルトも来てくれたわ”

 その事実にホッとした私の頬が自然と緩んだ。


「こんなところで何をしているんだ?」
「あら、そんなの初夜をヤりに来たに決まってるじゃない!」

 自らも夫婦の寝室に来たくせに今更何を言っているんだと思った私がそう言うと、ぽかんと見開かれていたロベルトの瞳が更に開く。

「初夜をヤりにって、お前……」
「ほら、早くロベルトも入ってきなさいよ」

 扉の前で固まっているロベルトの腕を引き部屋へ引き込むと、改めて私は夫婦の寝室を見回した。


“へぇ、思ったより可愛い雰囲気なのね”

 夫婦の、というくらいなのだから、男性も居やすいようにてっきりシックな家具と落ち着いた色合いでまとめられているのかと思っていたが、どちらかと言えば白が基調になった小さめの家具が多く、私が使いやすいようなものが取り揃えられているようで。

「……気に入ったか?」
「でも、ロベルトは使いづらいんじゃない?」
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