利害一致のお飾り婚だったので初夜をすっぽかしたら大変なことになった
 なんとか手っ取り早く誰かに嫁いでしまいたいが、申し込んでくれた相手には漏れなくお断りを入れられているので嫁ぐ相手もおらず、『幻想の三女』へと向けられる恋文だけが溜まっていた。

 
“もう誰でもいい、ガッカリしない相手とサクッとお飾りでいいから結婚したい……”

 今日何度目かのため息が私の口から漏れたところで、目を吊り上げたクラーラがこちらへと向き直る。
 
 
「リ、ネ、ア、さ、ま!」
「は、はぁい……」

 やべ、これそろそろガチなやつだ。と彼女の怒りボルテージに肩をすくませた私は、渋々申込書が置かれている机へと向かい、そしてある名前が目に飛び込んできた。

 
「ロベルト・フラスキーニ……?」
「先日フラスキーニ伯爵家から送られてきたものですね」
「ロベルトって……、もしかしてあのロベルトなの?」
「はい、リネア様も幼い頃何度か顔を合わされている、あのロベルト様でございます」

 
“あのロベルト!”

 クラーラの説明を聞き、ドクンと心臓が激しく跳ね、私の頬がじわりと熱を持つ。

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