利害一致のお飾り婚だったので初夜をすっぽかしたら大変なことになった
 ふわりと染まる頬が咲き誇るベゴニアのようだと称される、誰よりも愛らしい碧眼の姉が隣国の王子に見初められて嫁いで行った。

 母譲りの銀髪と父譲りの碧眼がまるで神話だと称される、この国一番の美丈夫と言われた兄も姉たちほどではないが可愛らしい妻を迎え、生まれた子供はその愛らしさから天使の生まれ変わりだと言われている。
 

 そんな美形一家を絵に描いたようなリルクヴィスト伯爵家の三女である私ことリネア・リルクヴィストは、兄とは反対に母譲りの焦げ茶色の瞳と父譲りのこれまた同じく焦げ茶色の髪の毛という、なんとも地味な見た目をしていた。

 見目麗しい姉と兄が目立つせいで、勝手に美形を期待され婚約申込みが後を絶たないものの、実際会ってみたらコレジャナカッタと話が流れること数十回。

 そろそろ噂で学べよといいたいところだが、やはり美形(だがイメージ)は強いのか、婚約申込みは減るどころか増える一方。

 ガッカリされるだけだとわかっている以上、最早断るのすら面倒くさいが結婚していないのはもう私だけのせいか両親からの圧も凄い。
 
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