利害一致のお飾り婚だったので初夜をすっぽかしたら大変なことになった
 乗馬というのは全身運動だ。
 その先に待つ未来は今以上の疲労と全身を襲う筋肉痛、そこにロベルトの笑顔があったとしても。


「せ……て、……て」
「? 起きたのか、リネア?」

“せめて、せめて予定はっ”

「大丈夫だ、側にいるから安心して眠れ。まだ夜明けは遠いからな」

“一日ひとつずつにしてぇ……ッ!”

「あぁ、わかってる。わかってるからな」


 ちゅ、と額に口付けたロベルトが再び私をぎゅうっと抱き寄せると、安心感に包まれる。

“あぁ、ロベルトの『わかってる』が、どうか私の願いを『わかってる』でありますように”


 結局私は彼の温もりに促されるように、頭の奥で必死にそう祈りながら眠りに落ちたのだった――。
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