ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。
舞妓さん
『ここで遊んでいく』
そう言って屋敷の中へ入っていった途端。

「いいじゃんいいじゃん。少しくらいさぁ」
と、ねばっこい、絡みつくような声が聞こえてきて日奈子と光は足を止めた。

屋敷内にある長い廊下の途中に酔っ払った男がいる。
その男が絡みついている相手はキレイな着物を着た女性だった。

女性は冷めた表情で男性を見つめて「やめておくれやすぅ」と、柔らかな京言葉を使ってしっかりと拒絶している。
「大谷さん。そこまでしておくれやす。お菊さん、困ってるやろぉ?」

廊下の奥からやってきた年配の女性が男性客と女性の間に割って入って仲裁する。
「あぁ、あぁ、そうか」

それでも大谷さんと呼ばれた男性客鼻の下を伸ばしっぱなしだ。
お菊さんと呼ばれた若い女性はそそくさと奥へ引っ込んでしまった。

年配の女性につれられて出口へと移動を始めるけれど、よほど酔っ払っているようで足元がおぼつかない。
< 200 / 264 >

この作品をシェア

pagetop