ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。
カズに再開する
部屋を出る時に光がなにか言っていたけれど、日奈子の耳には届いていなかった。
2月と言ってもまだ寒く、上着も着ていないドレス姿のまま飛び出してきた日奈子はすぐに後悔することになった。

家を出た時からどんどん体温は下がっていき、指先が冷たくなってきた。
とはいっても部屋に戻る気にはなれなくて、近くの小さな公園にたどりついていた。

夜明け間近の今は公園内に誰の姿も見えなくて、日奈子はベンチに座って大きくため息をついた。
つい、勢いで出てきてしまったけれど、行き先なんてなかった。

ボロアパートはすでに解約されているし、友人の由利に連絡しようにも時間が早すぎてさすがに連絡できない。
「さむっ」

日奈子は自分の体を抱きしめて身震いをする。
日があたってくればまだ暖かいかもしれないけれど、それにはまだ時間が早すぎる。

「どうせ私なんていいように使われてただけですよーだ」
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