財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す

 この口ぶりはやったことがあるな……。そういうことではなくて、船室の部屋のカードもないのが問題なのだ。

「それだけじゃありません、指定されているお部屋のカードもなくて……」

「別になければないで帰ってくればいいだけだ。まあ、おそらく予備がある。何の問題もない。落ち着け、大丈夫だ。とにかくなくしたというのが不思議だ」

「どこかで落としたのか、あるいは忘れてきたのか、捜しましたが見当たらないんです」

「少し調べてみよう。何か理由があるかもしれん」

「理由って何ですか?」

「さあどうだろうな。少し探ってやるから待ってろ」

 彼はそう言って席へ戻ると、自分の携帯を出してメールをしている。しばらくして彼は電話をすると言って出ていった。
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