財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す

間引き


「あ、もうだめ……いい加減に……」

「……菜々……」

「……ん……んっ……」

 私が彼のキスに弱いことを知られている。

 もう日が高いのはわかっているのに、ベッドから起きようとすると覆い被さってきてキスをするのだ。

 そうすると、私の身体の力が抜けてしまう。ダメだ。菜々、しっかりしろ。今日こそはと思っていたのに……。ああ、煩悩に弱い私……。

 彼の胸を押し返し、今度こそと身体を起こした。横で彼がびっくりしている。

「どうした菜々?」

「ど、どうしたじゃないです!もう時間を見て!どうして昼過ぎなの?」
< 256 / 267 >

この作品をシェア

pagetop