財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す

「色んな理由が考えられるけど、私が思うに……もしかして崇さん、菜々のこと好きなんじゃないの?」

「違うよ。ここに来る前、総帥に私のことを『そういう対象じゃない』って話したらしいよ」

「ええー!そ、そういう対象って、恋愛対象ってこと?」

「多分そうだと思う」

「そうなんだ……御曹司が例の縁談を断ったのは、菜々のせいじゃないと総帥に説明したのね」

「とにかく、なんで縁談を断ったのかしら?すごい人だったんでしょ、お相手」

「そうらしいよ。黒沢さんが落ち込んで楽しかったのに、断ったって聞いてからまたはしゃぎだした。最低だよ。それにしても御曹司が総帥に逆らったの初めてじゃない。専務のことよっぽど腹に据えかねたんだろうから総帥に仕返ししたとか、そういう噂もあったよ。まあ、気持ちはわからないでもないけどさ」
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