私の彼は、一途な熱血消防士

夏祭り 6

 私の言葉に、誠司さんも少し寂しそうな表情を浮かべる。

「ああ、そうらしいですね。……まあ、これだけおんぼろな建物だから、仕方ないって言えばそれまでなんですけど。耐震面でも、昔の建物だから、今の基準に合わないでしょうし」

 数年前に耐震補強工事は行われているはずだけど、私がここに赴任する前の話だし、詳しいことはわからない。
 でも外観などは昔のままらしいので、ほとんどの人は建物を見て「本当に大丈夫?」と心配の声をあげる。

 誠司さんの反応はごもっともだ。私も頷いて肯定すると、少ししんみりとした空気が流れる。それを壊すのは、美波ちゃんだ。

「ねえ、まなみせんせい。せんせいはどんなふうにうちわのかざりをつけるの?」

 テーブルの上には、マジックや色々な形に切り抜いた色画用紙や折り紙、のりなどが用意されている。これを好きに使ってオリジナルのうちわを作るのだ。

「そうだねえ、七夕が近いし、天の川っぽいのがいいかな」

「わあ、みなみもそれ、まねしていい?」

「もちろんいいよ。じゃあ、一緒にやろう」

 私の声に、美波ちゃんは大喜びだ。私がうちわに描く絵を真似して、うちわに絵を描き始めた。
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