私の彼は、一途な熱血消防士
 私は笹の絵を描き、短冊や浴衣を着た女の子を描いた。すると美波ちゃんも負けじと浴衣を着た小さな女の子と大きな女の子、男の子の絵を描き始める。
 大きな犬らしき絵も描き加えている。きっと美波ちゃんのお父さんとお母さん、マロンと美波ちゃんを描いたのだろう。

 空に月とたくさんの星を貼り付けてうちわを完成させると、美波ちゃんも大喜びだ。

「わーい、うちわができた! せいちゃんみて! ママとせいちゃんとみなみとマロンだよ」

 完成したうちわを誠司さんに見せると、誠司さんは驚いた表情を見せる。まさか自分を描いてくれていると思わなかったのだろう。

「え……、これ、俺? パパじゃないのか?」

「うん。だってパパはもっとかっこいいもん」

 美波ちゃんの言葉に、誠司さんはガックリと肩を落とす。そんな二人のやり取りを、私は笑いを堪えながら眺めていた。

「ひでえな、その言い草……」

「美波ちゃん、叔父さんもかっこいいでしょ?」

 見かねた私が口を挟むと、誠司さんはもっと言ってやってくれとばかりに頷いている。

「せいちゃんもかっこいいけど、パパはもっとかっこいいの!」
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