私の彼は、一途な熱血消防士
「……うち、狭いですがよろしくお願いします」

 素直に甘えていいのか悩ましいけれど、日浦くんにこれ以上勘違いをされたままでは困ることが起こりそうだ。

「じゃあ、今日の晩飯は、俺が作りますよ。家に食材はありますか?」

「いえ、あったとしても一人分しか置いてないので……」

「わかりました。じゃあ、後で一緒に買い物へ行きましょう」

 夕飯を作ってくれると言う言葉に、私の心が弾んだ。一人暮らしを始めてから、休日実家へ帰った時に母が持たせてくれるお惣菜や、スーパーのお惣菜や冷凍食品など、疲れて何もしたくない時やこのようにけがや病気などで身体が自由にならない時など本当にありがたく思う。

「今晩、何が食べたいですか?」

 私の右手は握られたままだ。これ、いつまで握っているんだろう。私は急に恥ずかしくなり、汗が噴き出して来た。
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