私の彼は、一途な熱血消防士
 冷凍庫から保冷剤を取り出し、トレイの上へグラスに注いだお茶を載せ、リビングへとやってくる。トレイをテーブルの上に置くと、私に保冷剤を手渡した。

「これ、返さなくていいから、気にせず使ってくださいね。保冷剤って、外側の包装を外したら消臭剤の代わりにもなるって知ってますか? いらなくなったら捨てる前に瓶にでも移して、臭いが気になるところへ置いておくといいですよ」

 そう言ってから、お茶をテーブルの上に並べていく。美波ちゃんはグラスに手を伸ばすと、それを一気に飲み干した。

 保冷剤って、そんなことにも使えるんだ。意外な活用法を知り、保冷材に対する見方が少し変わった。火傷が治まって使い道がなくなれば、ゴミ箱の消臭剤として使ってみようかな。

「ありがとうございます。では、遠慮なく使わせていただきますね」

 保冷剤を受け取ると、早速今腕を冷やしている保冷剤と交換した。病院でもらった保冷剤は、すでに溶けて柔らかくなってしまい、さっきから腕にヒリヒリとした痛みが走る。

 保冷剤を取り替えると、その痛みがすぐに和らいだ。

「ああ、これは痛そう……。しっかり冷やさないとね」
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