私の彼は、一途な熱血消防士
 誠司さんがうちへ泊まりに来ることは、美波ちゃんがいないところでの話だけに、誠司さんはどう答えるのだろう。内心ハラハラしながら誠司さんの答えを待つ。すると、誠司さんもそこはきちんと考えているようだ。

「ああ、さっき職場から連絡があって、急遽出勤しなきゃならなくなったんだ。明日も仕事で連勤になるから、マロンのお世話、頼むぞ」

 その言葉に、美波ちゃんは「うん」と頷いた。

 誠司さんがマロンと言葉にしたので、廊下から大きなゴールデンレトリバーがリビングの中に入ってきた。

 外は暑いから、家の中に入れてもらっているようだ。長毛の犬だから、人間よりも余計に熱さを感じるはずだ。

「マロン、お座り!」

 私に飛びかからないよう、誠司さんが指示を出す。マロンは誠司さんの言葉に従い、その場にお座りをした。

「留守の間、美波と姉さんのこと、頼むぞ」

 誠司さんがマロンの頭をわしゃわしゃと撫でると、マロンは嬉しそうに「ワン!」と吠えた。

「じゃあ、愛美先生、家まで送りますよ」
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