私の彼は、一途な熱血消防士
第五章

接近 1*

「恥ずかしいので無理です」

 やっとの思いで言葉にすると、誠司さんはすんなりと引き下がった。

「残念。でも、気持ち悪くなったり、何かあればすぐに声掛けて」

「わかりました」

 私はそう言うと、自分の部屋に戻って着替えを用意した。

 夏場は暑いから、いつもはTシャツと短パンといったラフな格好で過ごしているけれど、さすがに今日はジャージのほうがいいかな。
 さんざん悩んだ結果、誠司さんもハーフパンツだし、私もハーフパンツを用意して脱衣所へと向かった。

 服を脱ぎ、下着をタオルで包むと洗濯かごの中に入れる。これは明日、実家に持ち帰るので、忘れないようにしなければ。

 服に関してはこの時期、汗になったものを洗濯機の中に放置していると、いくら洗っても臭いが落ちないから下着以外は洗濯しよう。

 裸になった私は浴室の扉を開けた。

 浴室は換気扇を点けたままにしてくれていたので、そこまで熱はこもっていない。
 シャワーのコックを開くと、勢いよくお湯が流れ出す。私はまず化粧を落とし、それから髪の毛を洗った。身体に関しては、腕を高く上げるだけでも背中に痛みが走るので、背中は汗を流すだけにした。
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