私の彼は、一途な熱血消防士
 冷蔵庫の中から冷やしていた麦茶を取り出すと、グラスに注ぎ入れる。もちろん誠司さんの分もだ。
 グラスに注いだ麦茶を手渡すと、誠司さんはそれを一気に飲み干す。私も風呂場の湿気と熱気でのぼせそうだったので、一気に飲み干した。

 空になったグラスへ麦茶を注ぐと、それも一気に飲み干す。ようやくのどの渇きが和らぎ、お風呂で汗を流してさっぱりした私は、リビングに戻ると誠司さんの隣に座った。

「次は何を観ましょうか」

 私は、タブレットに表示されているリストをスクロールさせながら、それとなくさっきのような空気にならないよう違う話題を振った。

「幼稚園の園児たちの話題に合わせなきゃいけないし、アニメでもいいですか?」

 極力甘い空気にならないよう、もっともらしい理由をつけて、子どもたちが大好きなアニメの中から最新版の映画タイトルを選ぶ。でも誠司さんが、その手を阻んだ。

「待って。映画もだけど、さっきの続き」

 そう言うと、再び私の頬を両手で包み、私にキスをする。するとこの場は、あっという間に甘い空気に変わっていく。
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