私の彼は、一途な熱血消防士
 胸を露わにされた私は、Tシャツで胸を隠そうとするも、誠司さんにその手を阻まれる。火傷を負った左腕を動かせば、背もたれに患部が触れた時に痛みが走るため、自由が利かないのはもどかしい。けれど、内心ではこれ以上のことを期待する私もいる。

「綺麗な胸を隠さないで」

 私は両手を頭上で縫い留められ、抵抗する術がない。

「でも……、恥ずかしいです」

 私は自分の気持ちを素直に伝えると、誠司さんも自身の気持ちを口にする。

「愛美が恥ずかしい気持ちは理解できる。でも……明るい場所でないと、愛美の怪我の場所が把握できない。暗いところでこんなことしてたら、気付かないうちに背中に触れてしまいそうだ」

 誠司さんのその言葉で、私は抵抗することを止めた。

「怪我を負った身体に無理はさせたくない。けど、今日、愛美を俺のものにしたい」

 熱のこもった声で、眼差しで、私に訴えかける。そんな誠司さんに流されたわけではないけれど、私も誠司さんと同じ気持ちであることをわかってほしかった。

「なら……、せめて少し、暗くしてください……」

 部屋の照明はLEDなので、明るさの調節は自由が利く。私はテーブルの上にあるリモコンを指差した。
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