私の彼は、一途な熱血消防士
 お弁当を包んでいる大判のハンカチを解き、お弁当箱の蓋を開けた。私のお弁当は二段重ねのものなので、一段にごはんを敷き詰めふりかけを塗している。そしてもう一段におかずを入れているのだけど、今日のおかずはほとんどが冷凍食品である。昨日は前の日に作ったカレーの残りを食べたので、おかずとして流用が難しかったのだ。

 一人暮らしを始めて思ったのは、料理のレシピ本やインターネット上に溢れるレシピなど、そのほとんどが二人分の材料で、お一人さまの私にはその日のうちに食べきれる量ではない。翌日のお弁当に流用して消化できるならまだしも、食べ切るまではそれが続くという罰ゲーム的展開に陥ることもあることに、ようやく気付いたところだ。

「そういえば、さっき美波ちゃんのお迎え、例のイケメンだったんですよ」

 食事をしながら唐突にさつき先生が口を開くと、即座にみんなが反応する。

「え? うそ、見たかったなあ。さつき先生、今年は担任だから役得ですね」

 そう言葉を発したのは、沙織先生だ。

「さつき先生、あの保護者さんに粗相があってはダメですよ」

 なんと、園長先生までがこの調子で私はびっくりの連続だ。
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