私の彼は、一途な熱血消防士

出会い 3

 教室の掃除が終わり、廊下に設置してある子ども用の手洗い場で手を洗うと、私たちは職員室へと向かった。

 給食が始まれば園児たちと昼食をとるので、こうして職員だけで食事をするのは、四月の慣らし期間や夏休みの間くらいだけだろう。

 さつき先生と揃って職員室に戻ると、もう一つある年長クラスの担任である安藤(あんどう)里佳(りか)先生が急須にお湯を入れ、お茶の用意をしているところだった。

「さつき先生、愛美先生、お疲れさまでした」

 里佳先生はそう言うと、各自の湯呑み茶碗を机の上に配った。

「じゃあ、いただきましょうか」

 みんなが集まるのを待ってくれていた園長先生の声に、職員みんながいただきますの声をあげ、持参したお弁当を机の上に広げた。

 湯呑み茶わんはそれぞれ自分が使うものを家から持参しており、私は幼稚園勤務が決まった時に子どもから大人まで人気がある二匹のくまと黄色い鳥が描かれているものを購入し、以降ずっとそれを使っている。私は湯呑みを手に取り、口をつけた。玄米茶の芳しい香りが職員室の中に広がるようだ。
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