私の彼は、一途な熱血消防士
第六章

事件 1

 何だかんだ言って、やっぱり実家は落ち着ける。打撲を言い訳に、私は今回上げ膳据え膳だ。

 母は家事の手が空くと、急遽帰って来た私の分の食材が足りないからと買い物に出掛けた。

 母が出掛けたので、私は一人。自分の部屋に戻ると、久しぶりに高校時代の卒業アルバムを手に取った。

 高校を卒業して八年。同窓会をやろうという声が挙がらないので、特定の同級生と顔を合わせる機会はほとんどない。日浦くんが隣に引っ越してきたことはイレギュラーだ。

 パラパラとページをめくる。小春も私も大人になって化粧を覚え、この頃と顔が変わっている。きっと同級生たちも顔が変わって、街中であったとしても気付かない子がいるんだろうな……

 園児たちもそうだ。私は二十歳で幼稚園教諭になり、六年ちょっと、園児たちの卒園を見てきた。初年度に卒園した子たちは、今年中学一年生。街中で声を掛けられたとしても、成長とともに顔が変わって、すぐにわからない子もいるだろう。
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