私の彼は、一途な熱血消防士

事件 5*

 翌日、十時過ぎにアパートへ戻った私は、誠司さんの到着を待って、一緒に警察署へと向かった。

 昨日、母から預かった郵便物をストーカー行為の証拠として提出するためだ。
 警察署に到着すると、誠司さんが受付で昨日の事情聴取を担当した刑事さんの名前を伝える。

 少しして別の刑事さんが現れたけど、日浦くんの取り調べを担当しているとのことだったので、事情を説明した上で封筒一式を手渡した。

 無事にミッションを遂行した私たちは、アパートに戻り、部屋の掃除に勤しんだ。

 誠司さんは、部屋に盗聴器が仕掛けられていないか調べている。

 この前持ち帰ったコンセントタップが盗聴器だと気付いたのは、以前テレビで似たような事例が放送されていたとのことで、もしやと思い中井さんに調べてもらったのだという。

 空き巣対策に、男性用下着を干す程度のことしかしていなかった私は、今回のことで自身の危機管理能力の低さを改めて思い知ることとなった。

 一通り掃除や洗濯が終わり、気が付けばお昼前だ。

 自分が不在の時に、いろいろな人がこの部屋に入って色々なものを触ったということが、この先ちょっとトラウマになりそうだ。私が「引っ越そうかな」とボソッと呟くと、誠司さんは少し考えて口を開く。
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