私の彼は、一途な熱血消防士
 その際、日浦くんのストーカー騒動の話も避けては通れなかったので、オブラートに包んで話をしたけれど、小春も千紘さんも、真剣に話を聞いてくれた。

 小春たちも、その後藤本さんや中井さんたちと定期的に飲み会をしているらしく、新しい出会いがあったようだ。

 誠司さんとのお付き合いは順調に進み、夏休みが終わる頃に、トラウマになっていた恐怖が少しだけ和らいだ。


 二学期に入り、誠司さんは非番の日には、必ず美波ちゃんのお迎えで幼稚園に顔を出してくれる。

 特に会話を交わしたりすることはないけれど、私たちのお付き合いについて、どうやら職員たちや保護者さんたちも薄々気付いているみたいだ。

 そこには暗黙の了解という空気が流れているのか、だれも何も口にしない。干渉されてあれこれ聞かれるのはしんどいので、みんなが大人の対応をしてくれるのはありがたい。

 そして、十月に入ってから一人の人物が私を脅かすこととなる。

 それは今年の六月、教育実習にやってきた短大生、大森(おおもり)苑子(そのこ)だ。
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