私の彼は、一途な熱血消防士
 さつき先生は裏表のない性格で、人に注意をする時は、オブラートに包まず何が悪いかをはっきり言う。
 それは園児に対しても同じで、何が悪いかを理解させた後、きちんとフォローする。飴と鞭の使い分けが上手な、とても頼りになる先生だ。

 そんなさつき先生がここまで言うのは珍しいことだ。

 普通なら、相手がきちんと反省を示せば、ここまで詳細を語ることはない。さつき先生の中でも消化しきれていないのだろう。

 さつき先生だけではなく、里佳先生もお疲れの表情だ。

 隣のクラスとはいえ、同じ年長さんの担任だから、年中さんより交流が多い。加えて今回の教育実習期間は、地域の秋祭りが重なるため、外部の人たちとも触れ合いがあるのだ。

 先生方も頭を悩ませている。せめて今は、自分が教育実習中で、幼稚園には学びに来ていることを自覚してほしいものだ。

 園長先生も、最終手段で大森さんの実習受け入れを断る旨を短大側に申し入れると本人を前に伝えたおかげもあり、何とか大森さんもおとなしくなったけれど、これは前代未聞である。

 厳重注意を受けた大森さんの態度は良いとは言えないけれど、何とか最終日まで実習を終えた。
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