私の彼は、一途な熱血消防士

一難去ってまた一難 2

「はぁー……、ほんっと、疲れたわ……」

 本日最後の実習を終え、大森さんたちが幼稚園の正門を出て行ったのを確認したさつき先生が、盛大に安堵の溜め息を吐くと、沙織先生がみんなにお茶を淹れた。

「さつき先生、本当にお疲れ様でした」

「沙織先生、ありがとうございます」

 里佳先生も苦笑いしながら、みんなに個別包装されているお菓子を配った。

「アレはちょっとねえ。六月の実習の時はまだそんなひどくなかっただけに、ギャップがすごい。今回は私、何度ブチ切れそうになったことか」

「今回、本当に酷かったですね。特に美波ちゃんに対するえこひいきは目に余りましたね……。大塚さんも全く相手にしないから、大森さんのアピールもエスカレートしていくし。イケメンも大変ですよね」

 数日前、美波ちゃんのお迎えにやって来た誠司さんは大森さんに声を掛けられ、連絡先を書かれたメモを渡されたのだ。

 握らされたメモを返そうとしても大森さんはすぐにその場を離れ、美波ちゃんもこの日は予防接種の予約を入れていて時間が迫っていたため、そのままメモを持ち帰る羽目になったのだという。
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