私の彼は、一途な熱血消防士
「俺さ、夏祭りがきっかけで愛美と付き合うことになっただろ。あの時、隣のやつの話を聞いて、すぐに籍を入れたかった。愛美の不安を取り除くためだけでなく、俺自身が安心したかったんだ。愛美は俺のものだって」

 私を抱きしめる腕に力がこもり、私も誠司さんの背中に回した腕から力が抜ける。

「で、今回の実習生の件で、愛美が心配してくれていたのがすごく伝わった。お互い同じ気持ちなんだってわかって。付き合ってる期間が短くても、一日置きにこうして会って、お互いを曝け出して。俺は、これからずっと、こうして愛美と一緒に過ごしたい」

 大森さんの存在に、私がどれだけヤキモキしたか、全てお見通しだったようだ。

「ただ……、救急救命士の資格を持っているけど、俺は消防士だ。火災が発生すれば、消防士として現場に駆け付けることもある。常に命の危機と隣り合わせの仕事だ」

 その言葉にハッとした。

 一一九番通報で出動するのは消防車と救急車だ。大規模な火災や災害が起これば、非番でも誠司さんは出動要請がかかるのだ。今のところ非番の日に緊急連絡はないけれど、そういうことも起こりうる。
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