私の彼は、一途な熱血消防士
 ほどなくして、店員の女性が現れた。明るい髪色の、長い髪を後ろで一つに括ったかわいらしい人だ。

「飲み物頼む。俺と中井(なかい)は生、誠司はウーロン茶でいいか? ……で、女性陣は?」

 藤本さんがこの場を仕切ってくれ、こちらにドリンクをどうするか問いかける。すると小春が口を開いた。

「じゃあ、私はカシスオレンジと千紘(ちひろ)はモスコミュール、愛美はどうする?」

「それじゃあ……、私もウーロン茶でお願いします」

 私だけソフトドリンクを頼んだことで、場の空気を悪くしたりしないか心配だったけれど、小春には事前に車で来ることを伝えていたし、誠司さんもソフトドリンクだし大丈夫だよね……?

 そう思っていたら、オーダーを取りに来た女性が注文を復唱した。

「では、生が二つとウーロン茶が二つ、カシスオレンジとモスコミュール、以上でお間違いないですか?」

「おい灯里、その話し方、何か気持ち悪い」

 女性がオーダーの確認を終えた途端、藤本さんが口を開く。

 灯里と呼ばれた女性は、笑いながら「だって仕事中だもん」と返した。
< 45 / 305 >

この作品をシェア

pagetop