私の彼は、一途な熱血消防士
第二章

ロマンスのはじまり 1

「ああ、お前が最後。でも、時間ピッタリだから遅刻ではないぞ。じゃあ、全員揃ったことだし始めようぜ」

 藤本さんの声に、せいちゃんが私の席の前に座る。正面からイケメンにじっと見つめるものだから、何だか居心地が悪い。

「あの……、俺、あなたとどこかでお会いしたことありますよね?」

 唐突に質問されて、私は驚いた。まさか、私の顔を覚えてる……?

 驚きのあまり、咄嗟に返事ができない私に、藤本さんが茶々を入れる。

「おいおい、誠司(せいじ)。早速ナンパするなよ、ちゃんと後で自己紹介するんだからさ」

「いや、そんなんじゃないよ。でも俺、あなたとどこかでお会いしてますよね……?」

 改めて問われた私は、頷くしかない。

「えっと……直接お話しとかしたことはないんですけど、多分、言えばわかると思います」

 この場で美波ちゃんの名前を出していいものか、悩んだ末に、もったいぶるような歯切れの悪い返事となってしまった。

「ふーん……、まあいいや。で、みんなは飲み物もう頼んだ? 俺、今日非番だから酒は飲めないんだけどいい?」

 せいちゃんこと誠司さんは藤本さんにそう言うと、藤本さんがわかったと言い、呼び出しボタンを押した。
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