私の彼は、一途な熱血消防士
 夏の教育実習は先週終了したから、それを理由に断るには無理がある。来月の予定表に目を通すと――夏祭りか。

 夏祭りはPTAの役員さんを中心に、園内で縁日を行う。さすがに二人でお出掛けとかはハードルが高いので、これに参加できないか誘ってみてもいいかな。

 私は一旦先ほどの文章を送信すると、すぐに既読マークがついた。それを確認すると、再びメッセージを入力する。

『行事予定でもお配りしていますが、来月幼稚園で夏祭りが開催されます。この日はPTAの役員さんを中心とした子どもたちのお店やさんごっこがあったり、ちょっとした屋台もあったりして、園内も保護者さんに開放しておりますので、よろしければ大塚さんも参加されませんか? 美波ちゃんもきっと喜ぶと思います』

 これなら他の人の目もあるし、一対一になることなく、幼稚園教諭と保護者として普通に接することができる。

 私はまだ誠司さんの人柄についてほとんど知らないし、誠司さんにしたって私のことは美波ちゃんから話を聞かされただけで、実際にどんな人間なのか知らないはずだ。幼稚園で過ごす普段の私を見てもらって、その上でまた一緒に出掛けようと誘ってくれるなら、その時は、喜んでそのお誘いを受けよう。

 入力を終えると、文章を読み直し、誤字がないことを確認して送信ボタンを押した。
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