私の彼は、一途な熱血消防士
第三章

夏祭り 1

 週が明け、いつもと同じ生活が始まった。

 隣に住む日浦くんは昼夜逆転の生活とのことなので、睡眠を妨げないように、生活音を立てないよう気を付けていた。と言うのは建前で、こちらの生活音を聞かれたくないと思い、静かに過ごした。

 どうやら日浦くんは私が出勤後に就寝し、夕方帰宅する時間帯に起きるようだ。

 廊下で顔を合わせると挨拶をし、少しだけ世間話をすることもあるけれど、顔を合わせるたびに私が買い込んでいる食材をチェックしてはお互い一人暮らしだし手料理を振る舞ってと冗談めかして言われることも少なくない。

 その逆も然り、手料理を押し付けられそうになることもあった。その時は前日に作ったおかずの残りがあるからと断っていたけれど、その頻度は高く、顔を合わせることがちょっとしんどく思えてきた。

 私が日浦くんの友人とはいえ、彼女ではないのに、この距離感はちょっとどうかと思う。

 当時も今も、私は日浦くんに対して恋愛感情は持っていない。そのことは口にせずとも私の態度でわかっているはずだ。
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