実家に冷遇されたポンコツ地味令嬢ですが、魔術学園で活躍していたら隣国王子の溺愛が始まりました

貴族社会の洗礼と、颯爽と現れた公爵令嬢

 私はフェリシア・ウィルデイジー。

 ーー魔術学校で学んで女性魔術師になるのが、私の夢。
 器量の良くない私にとって、勉強と魔術と愛嬌だけが武器だから。
 母さんが亡くなった後、実家に私の居場所はどこにもないから。
 
 努力が実って、無事に私は魔術学園の奨学生になることができた。
 嬉しかった。

 入学すれば、実家から離れてようやく勉強に打ち込める。
 夢に迎う、理想の日々が待っている。
 ーー私はそう思っていた。

 けれど。
 新興貴族の貧乏奨学生には、越えなければならないハードルがまだまだいくつもあるらしい。
 ーー魔術学校に入学して二週間目、ある日の午後のことだ。

◇◇◇

 適性検査日で授業が午前中で終わった日、学園内のカフェテリアは大忙しだ。
 私は奨学生だけど、理由(・・)あってお金が足りずカフェテリアでバイトをしていた。

「ちょっと、テーブルの下拭いてちょうだい!」
「ただいまお伺いいたします!」

 サッと掃除道具を持って向かい、テーブルの下にこぼされた水を拭いていると。
 頭からーーご令嬢から頭に紅茶をかけられた。

「あ……」
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