実家に冷遇されたポンコツ地味令嬢ですが、魔術学園で活躍していたら隣国王子の溺愛が始まりました
「あの、お父様……あの二人の買い物、ちょっと……まずいのでは」
「ガハハ、誰がお前の話なんか聞くか」
「ほーっほっほ」
「がーはっは」
「うわあ話聞く耳持ってくれない」

 とほほ……と肩を落としながら、私は「おやすみなさい」と告げて、使用人用の寝室に向かい、使用人の皆さんに同情の目を向けられながら丸くなって目を閉じた。
 義母も義妹も、父の羽ぶりが良いばっかりに調子に乗ってるんだよなあ。
 本当の家計は火の四輪駆動なんですよって、祖父の代からの執事が書類ビリビリに破ってヒステリー起こしながら辞めていったっけ、と思い出す。

 目を閉じると、父と義母のどんちゃん騒ぎが聞こえる。また盛大なパーティを開いているんだ。私はもちろん、その場に呼ばれることはない。

◇◇◇

「……って感じで、まあ父からは婚約破棄を告げられて、荷物まとめて、あとゴミ出しの手伝いとかして、残った使用人の皆さんに『あとはよろしく』って頭下げて出てきたの」

 ここまで一息で話して、私はカイに肩をすくめてみせた。
< 22 / 56 >

この作品をシェア

pagetop