アイドルの妹だからってイジメないで



こぶしを握りしめ、涙をこらえていると


「お客さんが通れなくて困っているでしょ! なぜ気づけないの!」


ヒステリックな怒鳴り声が飛んできた。


痛みを感じるほど強く腕をつかまれ、私は顔をあげる。



「ちょっとこっちに来なさい!」



怒り噴火中の女性が、無理やり私の腕を引っ張りだした。



さっきまで私のメンタルを追い詰めていたりん友たちでさえ、口ポカン。

『虹湖に怒っているこの女は誰?』と言いたげな顔で、困惑(こんわく)している。



女性に引っ張られながら、ロビーに連れ出された私。

放り込まれたのは、誰もいない部屋。

教室ほどの広さで

『第三リハーサル室』としるされた札がかかっている。



私から手を離したその女性。

腰まで伸びたウエーブヘアを揺らしながら、ドアに掛かったカーテンを閉めはじめた。



「これで外から見えない」と言わんばかりのドヤ顔で、私のところに戻ってくると

私の真横の壁に手のひらをドン!



これがいわば、壁ドンというやつですよね?

人生初体験です。

お相手が私を捨てた母親でなければ、キュンときたのでしょうか?

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