憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。


 私の主治医は和登さん……いや、羽倉先生。

 手術までの間、担当の看護師さん、様子を見に来てくれる仁田先生や柳先生達にも本当に良くしてもらった。

赤間さんが毎日のように病室に来てくれるが、「亜矢様が入院してから和登様が家に帰ってきていない」ということを聞かされた。


 教えてくれそうな仁田先生に直に聞いてみると、

「まあ、羽倉先生は仕事バカだから。亜矢ちゃんと結婚する前は、ずっと病院に残ってこんな感じだったよ。まあ、私から言わせてもらえば前に戻った感じかな」と、特に気にもしない様子で笑っていた。

「……ずっと、ですか?」

「うん。ずっと病院に残って患者さんのあれこれしてたね。でも亜矢ちゃんと一緒に住むようになってからはちゃんと残業せずに定時に終わるように帰ってるから、病院内では羽倉先生に女ができたって噂は広まったんだけどね。結婚報告してる姿が楽しみだわ」

「でも、それはないと思います。私、入院する前に和登さんに離婚届けを出したので」


 私の言葉に仁田先生は唇を歪ませる。そして、少し棘があるようなトーンで

「……なんで?」

 と私に質問をした。


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