憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。
13.それぞれの願い



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 和登さんに、事前に私の欄を埋めた離婚届けを渡したのは、脳動脈瘤が難しい場所にできているから投げやりなわけではない。

 近しい関係性のまま和登さんに私の手術に挑んでほしくなかった。

 もう悲しい思いをしてほしくなかった。いっそのこと私を嫌いになってほしかった。だから、この場で記入してほしかったけれど、和登さんはそうはしてくれなかった。

 せっかく思っていないことを言い、和登さんに少しでも嫌われるように冷たくあしらったのに、和登さんはこの期に及んでも私の脳の方が心配らしい、「今日の脳ドックのCD-Rを仁田先生から渡されたと思うんだけど、それを見せてくれる?」と質問をしてきた。

 そんな和登さんに私の脳を託したいと思った。


 検査入院の際、私の両親も交え改めて私の脳の状態と、どういう手術になるのかを、和登さんは説明してくれた。

 手術の内容を聞いてもとても難しそうだったけれど、なにより、私の脳動脈瘤が精密検査によって破裂の可能性が十分にあるということの方がビックリした。

 そんなに危険性があるだなんて思いもしなかった私は当然言葉が出てこない。

 こうして緊急入院という形で、そのままベリが丘総合病院に入院することになった。


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