憧れの街で凄腕脳外科医の契約妻になりました。
5.恋と自覚する時


 急いで着替え、必要最低限の貴重品を肩掛けバッグの中に入れる。

 十四時までどこにいよう。そんなことを考えていると仁田先生からタイミングよくメッセージが送られてきた。

 仁田先生は休みのために、今からショッピングに向かうらしい。

【亜矢ちゃんは今日帰るんだっけ? よければ家まで車で送って行こうか?】

 仁田先生は最初から最後まで気遣ってくれてとても優しい。そんな仁田先生に、【一週間羽倉先生のお部屋にお邪魔することになったんです】と伝えると、仁田先生からすぐに電話が掛かってきた。

「亜矢ちゃんおはよう! 仁田です! ということは羽倉先生が住んでるホテルにいるんだね? 今からホテル前まで迎えに行くから詳しく聞かせて!」

 仁田先生の興奮はものすごかった。仁田先生は元々なセレブだと羽倉先生から聞いていたけど、親しみやすく話しやすい。

 仁田先生を待つべくホテルから出て待機していると、私の前に白色の一台のタクシーが停まった。ドアが開くと同時に後部座席にいた仁田先生が私に顔を覗かせた。

「いっやー、昨日は迷惑かけたね。飲みすぎちゃったみたいでさー。まだ二十四時間経ってないから運転ができなくて。ほら、乗った乗った!」

 謝罪しながら後部座席に乗るように誘導してくれた。

 タクシーで来たということは、仁田先生の家は莉緒香のように専属の運転手がいるわけではないのだろうか。

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