愚かなキミの、ひと目惚れ事情。【完】
「どこにも、居場所がないんだ」
「……」
「書道っていう舞台以外に、私の居場所が……見当たらない」
「葉ちゃん」
「自分の価値が、もう見出せない」
言葉と一緒に、嗚咽交じりの涙は共に溢れた。
人前で泣くなんて、今の私はきっとどうかしている。
少し前までの私なら、そんなのプライドが許さなかっただろう。
それだけでもきっと、変わってしまった証。
書道という鎖が不本意ながらも外された途端から、私は栄光を手放したと同時に自由を手に入れたんだ。
書道という付加価値が削ぎ落とされたと同時に、私はゼロになった。
私が歩んでいくはずだった一本道に、たくさんの十字路が現れた。
右へ進もうと左へ進もうと、まっすぐ前進しようと後退しようと私の自由。
ただ、その選択の仕方が分からない。
他人よりも迷うことなくひたすら一本道を突っ走ってきただけの私には、何かを吟味して、考えて、選ぶということができないんだ。