愚かなキミの、ひと目惚れ事情。【完】
もうお前が誰でもいいから黙って校内まで歩けよ、という気持ちを孕んで、騒がしい彼を横目に歩く速度を速めた。
途端、視界の片隅に入った彼は、私より高い身長をピンと伸ばして、両手で口を押えながら目を潤ませて半泣き状態になっている。
いやいや、容姿と行動が成り立ってないんですけど。
キャラメルみたいな髪色に、昨日テレビのCMで見た俳優と同じようにふわっとしたキノコみたいな髪型。
クラスの中に数人いる、チャラチャラしてうるさいだけが取り柄のような男達と同じような雰囲気をまとう彼は、私の後ろでしょんぼりとしながら、それでもついて来ようとするから驚いた。
「ねぇねぇ葉ちゃん?」
「うるさいな」
「今日、一緒に帰れるよね?」
「分かった分かった」