【短編】クールな幼なじみと紡ぐロマン
プロローグ
 私は今後悔(こうかい)していた。
 教えなきゃ良かった、自分のペンネームなんて。

「これどういう意味? 全然伝わらないんだけど!」
「見てここ! 『私はドキドキってして呼吸困難とめまいがした』ってなんか文章変!」

 あはは! と笑い合っているのはクラスメートの女子たち。
 私が初めて小説投稿(とうこう)サイト『ラブベリー』に投稿(とうこう)した小説を読んで笑ってる。

「それに『~した』で終わってる文章ばっかりで読みづらいよねー」

 そう言ったのは有村(ありむら)美乃梨(みのり)ちゃん。
 彼女(かのじょ)も『ラブベリー』に小説を投稿(とうこう)してる。

 美乃梨ちゃんは長編を書いたらランキング10位以内には確実に入るってくらいの人気作家!
 そんな人が近くにいたら、私も……とちょっとくらい思っちゃうのは仕方ないよね?
 別に同じくらいの人気作が書けるなんて思ってない。
 はじめて書いた小説だし、試しにって思って投稿(とうこう)した作品だもん。

 感想なんてもらえないし、pvだってなかなか増えない。上位どころかランキングに入ることも出来ないような作品。
 でも、たった3千文字だけど……それでもはじめて一つのお話を書ききれたんだってことがうれしかった。

 そんな中『ラブベリー』独自のいいねボタン・『ラブボタン』を()してくれた人がいたの。
 ついうれしくて、学校でもサイトを開いてニヤニヤしてたら美乃梨ちゃんと仲の良いクラスメートに見つかっちゃったんだ。
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