【短編】クールな幼なじみと紡ぐロマン
「……これ、もしかして玲衣くんかな?」

 公開しておけって今さっき言われたばかりだから、その可能性は大きいと思う。

 この作品を玲衣くんが読んでくれてる。
 今までも読んでもらっていたけれど、この作品は私にとってちょっと特別だから……なんだか()ずかしい。

 はじめてのコンテスト参加作品。
 受賞なんて出来るとは思っていないけれど、ちょっとは期待しちゃう。
 色んな意味でドキドキしながら、今だけは完結の余韻(よいん)にひたった。

***

 一回だけだけれど見直しもして、あらすじも書いた。
 そうして無事コンテストに応募出来た私は、また次の作品の構想を練ってる。

 三万字近い作品を書けたっていうのは自信にもなったみたいで、次は五万文字を目標にしたいなぁって思ってるんだ。
 いずれは十万字くらいの長編も書けるようになりたい。
 そのころには、ランクイン出来るくらいの実力はついてるかな?

 少しずつだけど自分の成長を感じつつ、教室でノートにネタを書き出していたときだった。

「やっぱり美乃梨はすごいって!」
「コンテストの作品の中でずっと一番じゃん!」
「えへへー。ありがと、私もうれしいんだー」

 少しはなれた席で美乃梨ちゃんたちの会話が聞こえる。
 思わずチラッと見ると、美乃梨ちゃんの友だちの一人と目が合っちゃった。
 その彼女の表情に意地悪そうな笑みがうかんで、嫌な予感がした。
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