【短編】クールな幼なじみと紡ぐロマン
 書きたいって思った。
 今はつたなくても、いつか(あこが)れの作家さんたちみたいに『キュンキュンした!』って感想をもらえるような作品を書きたいって思った。
 今回の作品はその第一歩のはずだったんだ。

「も……なんでそういうこと言っちゃうの? 止めようってふん切りついたところだったのに……」

 涙がまたにじんできて、つい文句を言っちゃった。
 どうしてがんばって書いたのかってことも忘れようとしてたのに……。

「だって、莉緒は何も悪くないじゃんか。どう考えたって、人のがんばりを笑うやつの方が悪い」
「玲衣くん……」

 私の作品を笑ったクラスメートが悪いって断言する玲衣くん。
 その目は怖いくらい真剣(しんけん)で、私は思わず言葉を失った。

「とにかく、消すのはいったん待てよ。俺も読んでみるから」
「へ!?」

 玲衣くんの予想外の言葉にすっとんきょうな声が出る。
 にじんでいた涙も引っこんじゃった。

「莉緒の小説のURL教えて」
「え? ええ!?」
 おどろいて戸惑(とまど)う私をよそに自分のスマホを取り出す玲衣くん。
「ほら、早く」
「う、あ、うん」

 急かされて、とりあえず言われるままに教えてしまった。
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