近寄りがたいキミの愛にリトライします!


「……由衣ちゃん喜んでいますが」

 お姉さんがお母さんに「どうしますか?」と問いかける。


 お母さんは渋々といった表情で由衣に目線を向けた。

「……お母さん! 同級生のお姉さんが教えてくれるんだからお礼言わなきゃ! あの、お金って……」


 お母さんに苦言しつつ、お姉さんにお金のことを質問している由衣。お姉さんは由衣に、

「お金はいらない。由真ちゃんの代わりに教えるだけだし、来年から中学生の受験生を対象に家庭教師をするつもりだから、その練習台になってくれる?」

 と説得していた。

 由衣に推されるようにお母さんも「まあ、お金がいらないなら」と渋々と頷く。


「その代わり、由真ちゃんは由真ちゃんの人生、由衣ちゃんは由衣ちゃんの人生を歩ませてあげてください。親のエゴで子どもを縛らないでください。私と真人には親はいませんが、由真ちゃんみたいに縛られた生活だったら、多分我慢できませんでした」

 「お願いします」と頭を下げるお姉さんにお母さんは不服ながらも、目を真っ赤にしていた。そして、

「……由衣には由真がついてるから大丈夫って思ってました。由真はしっかりしているから、どこへ行っても大丈夫、それより由衣の方をなんとかしなきゃって。本当に由衣を任せて大丈夫なんですか?」

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