何度でも、君に永遠の誓いを〜若きカリスマ帝王の真愛〜
第五章

揺るがぬ愛

樹里愛side

目が覚めた私を見て、みんながどれだけ心配してくれていたのか分かった。美結なんて、大声で泣いて、何を言っているのか分からなかったほど。
頭を打ったこともあり、念の為、検査をしたけど、どこにも異常は見られなかった。高い階段から落ちて、片腕の骨を折った程度で済んだのは、運が良かったとしか言いようがない。お医者さんからは、奇跡の復活だねっと、言われた。
きっと、お父さんやお母さん、おじいちゃんが私を守ってくれたのだろう。私はそう思った。
暁さんは、晶さんの指示で、松倉さんという人がウェイターに扮して、私を階段から落とし、それから一週間、私が眠り続けていたことを話してくれた。一週間も目を覚まさなかったなんて、今だに信じられないけど、でも、体が変に重く感じるのは、ずっと寝ていたせいだろう。

……そう言えば、あの時、暁さんのお母さんのことを聞いたんだった。暁さんに、お母さんのこと伝えるべきかな。でも、今の状況で、お父さんがしたなんて知ったら……ううん、暁さんは知るべきだ。黙っていることだって、私には出来ない。

「暁さん。お母さんのことなんですけど……」

私はベッドに腰掛ける暁さんに話し出す。

「父から、母のことを聞いた」

「……えっ?」

暁さん、知ってるの……?

「……変なんだ」

そう言って、暁さんは自分の胸に片手を当てる。

「父が母と俺を引き離したと聞いて、俺はどこかで、ほっとしたんだ」

暁さん……そんな風に……

私を見た暁さんは、物悲しげに微笑んだ。

「俺は大丈夫だ。だから……そんな顔するな」

いつの間にか、私の頬には涙が流れていた。私は涙を止めようと、手で振り払うも、涙は止まってくれない。
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