何度でも、君に永遠の誓いを〜若きカリスマ帝王の真愛〜
第一章

祖父の遺言

樹里愛side

私が住むサウスエリアには、広い海が一望出来る、サウスパークがある。このサウスパークを通って、私は毎朝、学校に行っている。ここでは、ボランティア団体や慈善活動家が集まり、寄付などのチャリティーを行っている。今日は朝早くから、難病の子供達への募金活動が行われていた。私は一度、足を止め、ポケットに入っていたお金を募金箱に入れる。

「ありがとうございます!」

若い女性が、パッと花咲いたような笑顔で、私にお礼を言う。

私はセレブみたく大金を寄付したりできないけど、少しでも力になれれば嬉しい。

腕時計で時間を確認すると、列車の時間まであと五分を切っていた。

もうこんな時間。急がないと。

そう思い、募金箱に背を向けた時__。
突然、私は誰かとぶつかった。よろけて地面に倒れそうになったが、力強い腕が私の腰を抱え、受け止めた。
太陽の光に目を細めながら見上げると、そこには背の高い、高級そうなスーツに身を包む、一人の男性がいた。サングラスをかけていて、顔はよく見えない。男性は私を支えながら立たせると、「大丈夫か」と声をかけてきた。その声が妙に色っぽくて、私は上手く返事が出来す、頷くだけだった。

良い匂い……薔薇……?

男性から香る、甘くゴージャスな香りが、私をくらくらと魅了する。

「ごめんなさい……ありがとう」

私は頬を赤ながら、なんとかお礼を言った。

「気をつけろよ」

……あれ……この人、どこかで見た気が……

私が不思議そうに首を傾げ男性を見ていると、男性は顔を俯かせた。

「大丈夫なら、俺はこれで」

「あっ……」

そう言うと、男性は足早に立ち去ってしまった。

どこかで見たと思うんだけどな……でも、思い出せないない。

「……列車!!」

私はサウスパークを走り抜けた。
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