何度でも、君に永遠の誓いを〜若きカリスマ帝王の真愛〜
「この結婚で、俺が正式に水島商事の社長に就任する」

「……お前が?」

馬鹿を言うなと、軽薄な笑みを浮かべる父。

「たかだかホテル一つ経営しているお前に、水島商事の社長が務まるわけがないだろ」

「遺言状があるんだ」

その瞬間、滅多に顔色を変えない父の表情が、険しくなった。

俺はスーツの胸ポケットから、香坂が用意した遺言状のコピーを出し父に見せた。

「水島会長の遺言状で、俺は彼女の夫となり、会社の資金を遺贈。社長職を任命された」

確認するように、父は紙を手に取る。

水島会長が、俺に社長職を任命するなんてことは、思っても見なかったはず。内心は焦っているだろう。俺がいるかぎり、こいつは一生、水島商事の富と権力を手に入れられないんだからな。

「俺は、全てを知っている。そして、あんたの言いなりになる気はない。今、あんたの頭の中には、無慈悲な考えが浮かんでいるだろう」

「そこまで分かっていて、なぜ遺言に従った? まさか、彼女を愛しているのか? お前が?」

滑稽だと言いたそうな父。

「愛……? そんなもの、俺にはない。あんたがよく分かっているはずだろ。俺はあんたに勝ちたい。そのために、彼女を利用しただけだ」

外に出ると、雨が降っていた。
車で信号待ちをしていると、人組のカップルが、一つの傘に身を寄せ合いながら歩道を渡っていた。キラキラと眩しく光って見えるのは、立ち並ぶビルの明かりのせいだろう。
窓ガラスに流れていく雨を見ながら、涙のようだなと思った。
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